IT業界の客先常駐とは | 一般派遣との違い・将来性・ブラック?

IT業界における客先常駐とは?

「客先常駐」はIT業界独特の勤務体制

IT業界ではごく一般的に行われている客先常駐と言う勤務形態ですが、これは一般的な企業ではほとんど行われていません。そのため、IT業界に精通していない人の中には、客先常駐と言われてもどんな働き方なのかよく分かっていない人も多いでしょう。

客先常駐とは、簡単に言えば自分が所属した会社ではなく、別の企業に派遣されて働くと言う勤務形態になります。普通は、会社に就職が決まればその会社内の部署に配属され業務を行いますよね。

客先常駐の場合、就職した会社から他の会社に派遣され、その派遣先の会社に通うことで業務を行うようになるのです。就職した会社にはほとんど通わなくなるため非常に紛らわしいのですが、客先常駐はあくまで「会社が社員を派遣している」状態なので、正式に所属しているのはもともとの会社と言うことになります。

「客先常駐」には3つの契約方法がある

客先常駐には、特定派遣、業務請負、偽装請負と言う3種類の契約方法があります。

特定派遣とは、国に届け出を出した会社が行える派遣方法の一種で、会社から社員を他の企業に派遣し業務を行わせると言う形態になります。特定派遣では、派遣された社員は派遣先の企業からの指示を仰いでシステム開発などの業務に携わります。

かつては法的な決まりが曖昧で問題が多かった特定派遣ですが、2013年に派遣制度は実質廃止となり、一般派遣と同じ労働派遣法に基づいて行われるようになりました。

次に業務請負と言う形態についてです。業務請負とは、基本的に受注した製品を開発、納品すると言う意味なのですが、IT業界ではデータの持ち出しが困難であったり、セキュリティーに問題がある場合、自社に持ち帰って開発することができないと言うケースがあります。その場合、実際に商品を発注した会社に出向いてその会社で成果物を作成すると言う形式が取られるのです。

業務請負で客先常駐に赴いた場合、基本的に自社の指示を優先して業務を行います。特定派遣では、社員に指示をするのは派遣先の企業でしたが、業務請負では派遣先の企業は社員に指示をすることができません。もし何か修正や開発の指示がある場合は、一度派遣元の会社を通して指示を行わなければなりません。

最後に、偽装請負と呼ばれる契約ですが、この方法は法律違反となるため本来は行ってはいけない業務形態です。偽装請負は、契約上は業務請負として客先常駐を行っているにもかかわらず、実際の業務内容は派遣先の社員の指示に基づいて作業行ってると言う形になります。

本来、派遣先の社員の指示で業務を行う客先常駐は、派遣事業の申請を行っている企業しか受けることができません。しかし、偽装請負をすることで、届け出を行わなくても社員を派遣することができるようになってしまうのです。この契約は、明るみに出た場合法的に処罰を受ける可能性もあるので、注意が必要です。

IT業界における客先常駐と一般派遣の違い

派遣と聞いて、よくイメージされるのは一般派遣という勤務体制です。一般派遣とは、登録型派遣によって行われる人材派遣のことで、この方法では契約した契約期間のみ雇用関係が発生する仕組みです。一般型派遣は、まず派遣希望者が派遣会社にエントリーし、その派遣会社から派遣先の企業や仕事を紹介され、それに了承することで派遣契約が結ばれます。

そして、契約によって定められた期間、派遣先の企業で雇用契約を結ぶのです。雇用契約を結ばれている間は、会社に所属していると言うことになりますが、契約期間が終了するとそのまま雇用期間契約も終了するので、また新たな雇用契約を結ばない限り休職中という扱いになります。たとえ、同じ企業に継続して派遣を求められた場合も、契約終了時に改めて雇用契約を結ばなければなりません。

派遣先が決まらない間が不安定な契約方法ですが、客先常駐と違い、自分の好きな時間や曜日で仕事を探すことができると言うメリットがあります。

客先常駐は、あくまで自分の会社に社員として所属した上で他の企業に派遣される業務形態です。そのため派遣先が見つからない間でも、基本的な給与の保障などは継続されます。

一般派遣は、雇用契約が終了すると次の派遣先が決まるまでの間は給与は支払われません。さまざまな違いがありますが、実際に働いている人にとっては、そこが一番重要な違いなのではないでしょうか。

IT業界における客先常駐はブラックなの?

IT業界において、客先常駐はよくブラックな勤務体制だと言われることがあります。確かに、会社に所属してそこでエンジニアとして働くよりも、リスクやデメリットが多く、勤務形態も不安定になりがちになる1面もあります。

客先常駐がブラックと揶揄されてしまう原因をいくつかご紹介します。人によっては全く気にしないと言う人もいるかもしれませんが、気になる人にとってはとても大きな問題になってしまうものもあるので、よく考えて自分の働き方を見直してみましょう。

出世や昇進が難しくなる

客先常駐で働いていると、出世や昇進が遅くなる傾向にあります。どんなに頑張っていても、その頑張りは派遣先の会社で行われているもの。身近で見ていてくれる責任者や上司がいなければ、直接の評価には繋がりにくいと言うのが現状なのです。実際に同期で入社しても、客先常駐で派遣されている社員よりも、自社勤務で働いている社員の方が早く出世をするというケースも多く存在します。

昇給が少なく収入面で不安定になる

本来、同じ会社に長く勤めていれば、その経歴や業績によって給与は上がっていくものです。しかし客先常駐をメインで働いていると、給与がなかなか上がらずに、働いている分の対価を得られないと言う事態が発生します。

納期前には残業や休日出勤等が当たり前に行われるIT業界において、十分な対価を受け取れないと言うのは非常に大きな不安要素となるでしょう。こういった面が、客先常駐はブラック要素が強いと取られる原因となっているのです。

IT業界における客先常駐では将来が不安だらけ?

客先常駐と言う働き方は、IT業界に入ったばかりの若い世代にとっては様々な現場で経験を積むことができるとも言われています。しかし、何年も同じ会社で客先常駐として派遣され続けていると、エンジニアとしての将来性は狭まってしまう可能性があります。

35歳を超えると受け入れ先が激減する

客先常駐は、一般的に30歳後半になると受入先が激減すると言う傾向にあります。IT業界での客先常駐では年齢に応じて常駐単価がアップしていきます。そのため、常駐先も単価が高い30代後半のエンジニアよりも、単価が安い若手を求めてしまうのです。

もちろん、中にはとても突出した技術を持ち合わせ、高い単価でも様々な企業から引っ張りだこになる高齢のエンジニアも存在します。しかし、客先常駐の多くでは高い技術を持っているベテランではなく、自分の会社で社員を雇うまでもない下流工程を受け持ってくれる扱いやすい人材を求めているものです。

そのため、単価が高く、年齢も上がって指示しにくい高齢のエンジニアは徐々に客先常駐の先の会社から受け入れられなくなっていってしまうのです。

下流工程を任されることが多く成長の機会が失われる

先ほど少し説明しましたが、客先常駐先で任される仕事のほとんどは、下流工程と呼ばれる業務です。これは、システム開発におけるプログラムの打ち込みやテスト上など、後半に行われることが多い工程で、上流工程によって定められた指示の下で業務を行う役割となります。

もちろん、下流工程もシステム開発においては欠かすことのできない役割なのですが、いつまでも下流工程ばかりを行っていると本来身に付けるべきマネジメント能力や、高度な技術を身に付けることができず経験年数だけが上がっていってしまいます。

エンジニアというのは、本来下流工程から上流工程に役割を移行し、クライアントとの話し合いや実際の仕様書の作成などを行うプロジェクトマネージャーや責任者などにスキルアップしていくことが推奨されています。エンジニアスキルだけではIT業界内で長く生き残っていけないのです。

客先常駐を長く続けてしまうと、このキャリアアップのために身に付けるべきスキルや技術を身に付けることができなくなってしまいます。そしていつまでも下流工程から抜け出せず、そのうち若い世代に仕事をとられてしまうと言った事態にもなりかねません。

会社のお荷物になって見放されることも

歳をとって客先常駐の受け入れ先が少なくなり、年齢に見合ったスキルを持っていなかったらどうなってしまうでしょうか。

会社は、多少の期間常駐先がなくても最低限の賃金を保証してくれます。しかしどんなに時間をかけても常駐先が定まらない社員に、いつまでも給料払っていく意味はありません。ある程度の年齢になり常駐先が決まらなくなってくると、会社からの退職や転職を促される可能性があります。

もし自社でも開発を行っている会社に勤めていれば、自社勤務に切り替えてもらうことも可能ですが、客先常駐メインの会社に勤めてしまっていると、そのまま仕事がなくなり会社から見捨てられてしまうかもしれないのです。

就職後にも面接があったら「客先常駐」確定?

さて、入社後に会社から客先常駐を支持される場合、入社後に改めて面接を受けることがあります。もし、自分が会社に受かった後、基本的な研修を受け、その後他の会社の面接に行くようなことがあれば、客先常駐として派遣されると考えて間違いはないでしょう。

面接といっても、上司が一緒に出向くことが多く簡単な自己紹介や経歴の紹介などといった簡易的なものが多いようです。あくまで、顔合わせといった側面が強いのであまり気負わずに面接に向かうようにしましょう。

もし、どうしても客先常駐として働くのが嫌で自社勤務を希望していたのに面接が行われてしまった場合は、その後の転職を視野に入れて行動することをお勧めします。

客先常駐だったら転職すべき?

様々なデメリットが存在する客先常駐ですが、自分が就職した会社が客先常駐を行っていって、自分が派遣されてしまった場合、転職した方が良いのでしょうか。

客先常駐でも、働いていて得ることができるメリットと言うものは存在します。客先常駐は数年おきに違う部署や会社に配属されるので、1つの会社に長くいるよりも多くの現場と触れ合うことになります。現場が違えば、扱われる言語やフレームワークなどの技術も異なり、ときには一から勉強し直さなければいけないこともあるでしょう。

まだ経験が浅くIT業界に慣れていない新人は客先常駐によってたくさんの仕事を行い、システム開発と言う仕事に慣れるという働き方も、自分のキャリアを上げるいい修行となるでしょう。

しかし、30歳を超えてそれまでと変わらず客先常駐で派遣され下流工程を行い続けているようだったら、転職を視野に入れるべきです。そのまま客先常駐のエンジニアを続けていると将来的に満足に稼げず、仕事を失ってしまう可能性もあるからです。自分が今所属している会社が、客先常駐メインの会社なら、30歳をめどに転職をすると言う目標に基づいて行動をして行くことをお勧めします。

転職に向けて客先常駐で働いてる間は各派遣先で人脈を広げ、なるべく記憶に残る実績を残していくようにしましょう。どの企業も今は優秀な技術者を求めています。たとえ派遣で働いていても、その技術力や人間力を見込まれれば引き抜きによって大手の企業に転職することも不可能ではありません。

もちろん、自分が今所属している会社に自社開発の部署がある場合は、転職ではなく自社勤務に切り替えたいと言う方向で進んでいくのも方法の1つです。エンジニアとして人生を確立していくには、自分がいつどのようなタイミングで転職をするべきなのかを見定めることがとても重要となります。

客先常駐からの退職方法

他の会社への転職が決まった時はもちろん、病気や家庭の事情で退職を決意した時、一般的な会社ならば直属の上司や責任者に意思を伝え、引き継ぎや退職の手続きを行っていきます。

しかし、客先常駐という勤務形態で働いている場合、実際に通っている会社は派遣先の会社となり、自分が所属している本来の所属会社にはほとんど顔出さないと言う人もいるでしょう。客先常駐として働いている人が、退職するには一体どのような手順を踏めば良いのでしょうか。

客先常駐で勤務している人は、常駐先の会社ではなく、自分が本来所属している会社の責任者に退職の意思を伝えるようにしましょう。たとえばA社から派遣され、B社に客先常駐として赴いている場合は、B社の社員に退職を告げたところで何の手続きもできないので、A社にいる自分の所属している部署の責任者や上司に退職を願い出てください。

すると、A社の上司から、今後どのような手続きをとったらいいのか、B社に退職を伝えるのは自分からなのか、会社を通してからなのか、といった退職に関する指示を受けることができます。

場合によっては、両者の責任者と面談を行うこともあるかもしれません。例えば、システム開発のプロジェクトが進んでいる途中で退職を願い出た場合は、そのプロジェクトが一段落するまでいてくれないかと頼まれることもあるでしょう。

しかし、退職と言うのは、強制的に阻止できるものではありません。もし次の転職先が既に決まっていて、早く退職したいと思っているのなら、プロジェクトの途中でも退職することは可能です。その場合は、次のエンジニアの仕事がスムーズに行えるように、引き継ぎ作業の一覧を作るなど出来る限りのフォローをして転職先に向かいましょう。

もし、退職後の転職のめどが立っていない場合や、特に焦っていない場合は、相手と予定をすり合わせてお互いが不都合の起こらない日を退職日に設定します。有給休暇が残っている場合はその消化の日程も加味して決めていくので、直属の上司としっかり話し合ってください。

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